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3.2.2.4バス機器の特徴
将来に向けた大型三軸静止衛星バスの高性能化を図るため、以下に示すような技術開発を行っている。主要なものは次に示すとおりである。
(1)アンテナ系と姿勢制御系の強調制御
衛星間通信用のアンテナは、背面に通信機器を収納するコンパートメント部が有り、その重量は200?となる。ユーザ衛星の捕捉追尾のためのアンテナを駆動すると、衛星本体の姿勢に撹乱を与え姿勢が変動する。COMETSでは、アンテナ制御系と姿勢制御系の間でアンテナ駆動色情報、衛星姿勢色情報を交換して外乱量を予測して協調制御を行うことにより、高精度に姿勢を制御する方式を開発した。
(2)統合型推進系
EST一?で開発された分離型ブローダウン式二液アポジエンジンを、COMETSでは統合型調正式の二液アポジエンジンに変更した。東西軌道制御等に使用するガスジェット系とアポジエンジン系を統合化することにより、構造部材重量の軽減を図り、調圧方式とすることでアポジエンジンの発生推力の安定化を図っている。ガスジェット系は、従来と同様ブローダウン方式を採用している。
なお、ETS一?アポジエンジンの軌道上における不具合原因の究明結果を受け、COMETS推進系の見直し点検を行い、万全を期すため一部設計変更を実施した。
(3)フレキシブル太陽電池パドル
フレキシブル太陽電池パドルは、従来使用されてきたセミリジッドタイプと異なり、太陽電池セルは厚さ50μmの短冊状のポリイミドフィルムに貼り付けられ、軌道上で伸展マストにより展開/収納が可能な構造を有している。この方式は短冊の枚数を変えることで発生電力を容易に増減でき、電力需要量に最適化したパドル設計が可能となる。特に、大電力が要求されるシステムでは、単位重量当たりの発生電力の面で有効となる。
なお、太陽電池セルには電力変換効率が高く、放射線耐性に優れているガリウム砒素太陽電池を使用している。
宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)に搭載された太陽電池パドルの軌道上投薬を反映するため、COMETS太陽電池パドルの見直し点検を行い、確実な収納が行えるよう一部改修を行った。
(4)ニッケル水素バッテリ
ニッケル水素(Ni−H2)バッテリは、高い放電深度に耐えられる特徴を有するとともに、単位重量当たりの電力容量(電力密度)が大きく、多くの衛星で利用されつつある。COMETSでは、実験機器としてETS一?に搭載されたものと同じ型のNi−H2バッテリを現用バッテリとして採用した。
3.2.2.5開発体制
COMETSの開発は、インテグレータ方式による体制で実施している。衛星全体システム、射

 

 

 

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